承認欲求を満たす事によって人は生まれ変われる

最近になって 承認欲求 という言葉はよく聞かれるようになった。

 

もちろん昔からこの言葉は存在すると思うけれど、10年前には口にする人はほとんどいなかったのではないかと思う。

 

私がこの言葉を意識するようになったのは講演家の鴨頭嘉人さんの動画を見てからだ。

 最近ではYouTubeでよく見かける人も多いと思う。

 

当時私は飲食店の店長として日々アルバイトの教育、部下の教育に毎日悩んでいた。

どのように行えば効果的な教育ができるのか

どのように教えれば生産性を上げられるのか

どういう教育をすれば指示を出さなくても自発的に行動できる人材を育てられるのか

どう接すれば意識の高いバイトを育てられるのか

どう接すれば皆と上手くコミュニケーションが取れるのか

 

を日々考え、しかし全く答えが見つからず悶々とした日々を過ごしていた。

それもそのはず。その答えを持っている人が周りに誰もいなかったからである。

そしてそれらを効果的に行い店舗運営をしている店長が私の周りにはいなかったからである。

要するに答えを持っている人はいない。お手本となるような人もいない。

本にも書いてない。誰も教えてくれない。

ずっともやもやとしたまま毎日仕事をしていた。

 

鴨頭さんのYouTube動画を見て確実に自分の中での一つの道ができた

そんな中、会社の会議で少しだけ動画を見るという事でスクリーンに映し出された動画を見る事に。

 

その時に、鴨頭さんの動画を初めて見た。一つの動画の一部でしかなかったが、ついつい見入ってしまった事を今でも覚えている。

アルバイトの女子高生が辞めようと思って出勤した時に、最後に挨拶だけは大きな声で

勤務先に入っていったら、社員の方から褒められて、その時初めて認められた、という話である。

 

それから家に帰ってネットで鴨頭さんの動画を検索してみる事に。

 

とにかく気になった動画は片っ端から見ていった。

 

承認欲求という言葉との出会い

そんな鴨頭さんのYouTube動画を見ていく中で、よく出てくる言葉がこの承認欲求という言葉だった。

鴨頭さんの体験談から話される内容にはとても説得力があり、かつ納得する話ばかりであった。

特にマクドナルド時代の話をしている動画があると、自分も飲食業で働いていたので勝手に親近感を感じながら動画を見入っていた。

 

鴨頭さんの動画を見る内に承認欲求がいかに大事かという事がとても理解できた。

これを理解した上で他者と働くのは訳が違った。

そして何より私自身も承認欲求を満たされていなかったと気付いた。

 

 小手先のテクニックなんて必要ない

私は今迄人の育て方や、コミュニケーションの取り方で毎日悩み、答えもわからず、結局変化できずに毎日仕事をしていた。

しかし1本の動画との出会いからたくさんの事を学び、自分も少しずつ変化する努力をした。

いきなり変わるのには相当なエネルギーと努力を要するので、少しずつ少しずつ学んだ事を働く時に活用するようになっていた。

 

私は以前から新人に対しての研修には時間をたっぷりかける。

まずは制服と名札をきちんと用意し、店内を案内する。タイムカードの打刻の仕方を教え、始めは席に座って座学の研修。その後にシフトの確認。取り扱っているメニューを紹介しつつ注意点を伝え、ハンディターミナル(オーダーを受ける際に入力する機会)の使用方法を教え、トレンチ(おぼん)の持ち方、運び方、実際にトレンチにグラス、皿を

のせての運び方の練習、そしてオーダーを受ける時は初めの方は少し離れた所から見て確認し、お客様が帰った後の席のセットはきちんとできる様になるまで終わったら報告してもらい、一緒に確認するようにしている。

 

そしてそれにプラスして、暇な時はコミュニケーションをとる、褒める等を徹底する様にした。

 当たり前の事だが、仕事が出来たら褒める。言われた事をしたら褒める。

もちろん、注意する時は注意したが、最後は必ず名前を呼んでお疲れ様ですと言うようにした。

 

見違えるように変わる人達

少しずつ自分の仕事にも学んだ事を取り入れる様になってから、変化が目に見えてわかってきた。

特にわかりやすいのは新人のアルバイトの子である。

 

今でも覚えている子が2人いる。

1人はコンビニでアルバイトをしていた高校を卒業したばかりの女の子だ。

この子は初めてのアルバイトがコンビニだったのだが、きちんと研修やハウスルール等も教えてもらえないままいきなりレジに立たされて働く事になったらしい。

そして何より衝撃的なのが、シフトが固定等ではなく働ける日に当日お店から電話がかかってきてその日に出勤するというシステムだったらしい。

1か月分のスケジュールがわかるわけでもなく、曜日で固定でもなく。

私もたくさんのアルバイトを面接してきたが、初めて聞いた働き方だったので衝撃だった。

 

その子を少しずつ教育していくと、アルバイト自体が楽しくなったらしく、「アルバイトは店長で変わる」と他のアルバイトに言っていたらしい。

本人を見ていても楽しそうに働くようになっていった。

ある時冗談で、「俺異動になったんだよね」と言っていたら泣いてしまう程だった。

 

もう1人は高校の時に吹奏楽で全国大会に出場する程の強豪校にいたが、顧問の先生は生徒には基本的に関心なし、先輩はめちゃめちゃ怖いという環境にいた子だ。

この子はアルバイト自体が初めてだったが、褒める事を徹底した。

おそらく環境的に自己肯定感は低いだろうなと感じたからである。

その甲斐もあって、仕事こそ覚えるスピードは遅かったかもしれないが、最後はその時のお店が閉店する事になったが家で悔しくて泣いたとの事だった。

 

時代が変わっていく中で、自分も変化しないと取り残されてしまう

今から10年以上前の飲食店のアルバイトは「嫌なら辞めていいよ」と店長が当たり前の様に良い、仕事ができなければクビにされたり、とてもホワイトな印象はなかった。(私の周りだけかもしれないが)

しかし、今の時代は最低賃金は都内は1,000円を超え、より人手不足が深刻化している。

探さなくても自給の高いアルバイト先はいくらでもある。

また、職種の幅も広がった。ウーバーイーツ等個人で働くアルバイトも当たり前になった時代である。

 

私の上司がこんな事を言っていた。

「今の子は続ける理由じゃなくて、辞めない理由を探す」と。

 

特に理由はないけど、しっくりこなければあっさり辞めてしまう時代なのだ。

 

そんな中で今迄と同じ働き方、同じ怒り方、同じ仕事の教え方をしていたら何か不満が無くてもアルバイトは定着しない、他を探す時代になってしまった。

 

そこに不平不満を言っていても何も始まらない。

むしろ周りが変化していく中で自分だけが取り残されてしまうのだ。

 

新しい価値観を受け入れ、自分の中でかみ砕いて昇華すれば、自分の視野が広がり人生を楽しむ事ができると思う。