不便を楽しめる大人になりたいとも思う

今日Twitterを見ていたら山口達也さんが飲酒運転で逮捕されたというニュースを見た。

 

このニュースを見た時に、元居酒屋の店長(今月いっぱいで退職)の私はたくさんのお客さんを見てきた中で、アルコールによって横柄な態度をとってしまい(正確にはアルコールを摂取して本来の素が出てきた)周りから白い目で見られる人をそれなりに見てきた。

 

今回はその中でも特に印象的だった人を思い出したので書いていこうと思う。

 

自分の思い通りにいかないと店員を睨みつける女性

私が悪い意味で印象的なお客さんで真っ先に思い浮かんだのは、「煙草吸えますか?」と聞かれたので、全面禁煙だとお伝えしたら「は?」と言って3秒位無言で私を見てきた(私は睨みつけられたと感じた)女性だった。

 

正直この日私は家に帰ってからも気分が悪かった。

自分の思い通りにいかないからと言って店員を睨みつけたりするのはとても幼稚である。年齢にして30代の女性だったのだが、私はとても不快な気分になった。

 

飲食業がブラックと言われる要素

最初に断っておきたいのが、もちろん飲食業全般がブラックだとは私も思ってないし、自分の仕事に誇りを持って働いている人はたくさんいる。そういった方々を否定する等という気は一切ない。

 

居酒屋がブラックだと言われるのは、労働環境の要因が大きい。

サービス残業は当たり前、休みもほぼ無い、給料も安い。

 

しかし、それらと同じ位大きい要素として私が思うのは、個人を相手にする商売という点だ。

 

私が勤めていたのは客単価も3,700円以上、全席個室のお店だった為、客層は30代以上の方々がメインだった。

落ち着いている方が多く、逆に様々な飲食店を見てきた層だからこそ手を抜いた料理、適当な接客をしていたら2回目は来店してもらえない方々でもある。

 

皆さん優しく接して頂ける方ばかりだが、その中でもはっきりとおかしいと思う方は何名かいた。

 

私が先程言った個人を相手にする商売という話に戻すと、企業対企業での仕事ならば会社という看板を背負っているので、決して取引先企業相手に横柄な態度は取らないはずだ。

そんな事をしたら最悪の場合契約を解消される事もあるだろう。

相手と接する時は会社の看板を背負って仕事をするのだから。

 

しかし、個人の場合はどうだろう。

休日にどこかお店に入り店員さん相手に緊張感をもって接する人等いない筈だ。

むしろリラックスして買い物や食事、レジャー等を楽しむ筈だ。

 

この時に勘違いをする人がたまにいる。

 

お金を払っているのだから偉いと。

 

私は違うと思う。

 

お金を払って対価としてそのサービスを受けれるという事だけなのだ。

だからお客様は神様でもないし、私個人の意見としてはどっちが上という事もない。

お金を払って得たサービスが納得のいかないものならば、次は違うサービスを提供する所に変えればいいのだ。

 

もちろん、お店側から著しくサービスを受けれなかった時は抗議すべきだ。

居酒屋の場合、料理が遅いや、飲み放題なのにドリンクが全然来ないや、店員の接客態度が悪いや、聞いてもない席料サービス料週末料金等取られた等はきちんと責任者に

伝えるべきだと思うし、私もそういった経験をしたら素直に店員さんに伝える。(今の所そういった経験はないが)

 

今回お伝えするのはそういった私の想いを載せてから実体験を書いていきたいと思う。

 

自分の思い通りにいかないと店員を睨みつける女性

実際のエピソード

最初にこの女性を接客したのを今でも覚えているのだが、男性と2人で来店されて飲食をされていた。

途中で私が接客した際に女性から「ここはどこで煙草吸えるの?」と聞かれた。

東京都内が全面禁煙になったばかりで私が勤めている店舗も建物自体(上は7階で下は地下1階迄あり、様々なテナントが入っている)が全て禁煙で喫煙場所は建物を出なければいけない。

私は「全面禁煙になっているんです。申し訳ございません。」

とお伝えしたら

「は?」

と言われ3秒くらい黙って私の顔を見てきたのを今でも覚えている。

 

そして、そんな事があったにも関わらずこの女性は常連だったのである。バイトの子が教えてくれた。あの人良く来ますよね、と。

 

その子の言う通り1か月もしない内にまた来店された。

そしてデジャブかと思う位、最初に書いたような事があったのである。

 

女性「どこで煙草吸えるの?」

私「申し訳ございません。館内全面禁煙となっております。」

女性(無言で私の事を3秒位見る)

 

しかしそれ以上にがっかりしたのは、禁煙だとお伝えしたにも関わらず結局そのお客さんは席で電子タバコを吸っていた。帰った後の席を片付けている際に吸い殻が落ちていたのだ。

 

このお客さんに限らず、残念な話だが全面禁煙とお伝えしているにも関わらず、喫煙をするお客さんは一定数いた。

予備のトイレットペーパーの裏に吸い殻が隠されていたり、トイレのゴミ箱の奥に吸い殻が隠されていたり、トイレで煙草を吸ってトイレ中が臭くなって慌てて店の備品である消臭スプレーを空気中に噴射している時にトイレチェックに行ったスタッフと鉢合わせるお客さんだったり。

とても残念な事である。

 

そして何よりこのお客さん、実はもっと前から常連だった事を私は思い出した。

ずっとその日以降も頭の片隅でもやもやして仕事をしていたのだが、ある時ふと思い出した。

 

去年の年末に女性と2人で来店された。

その当時はお店も喫煙でき分煙をしていた。

そのお客さんはネットで予約をされており、繁忙月という事もあり喫煙席は空いておらず禁煙席でのネット予約で入っていた。

 

来店されてからそのお客さんは煙草が吸えない事を知り「喫煙席で予約を取ったんだけど」と言ってきた。

そんな事はなかった。ネット予約はFAXでも通知が来る。予約内容を確認したが、喫煙席は団体予約で空いていなかったので自動的に禁煙席での予約しか取れない状態になっていたのである。

「喫煙席が空きましたらすぐにご案内致します」

という対応をして仕事をしたのだけど、お客さんのこの身勝手な一言で私達従業員はかなり振り回される。予約の確認やお客様の対応等、この一言で忙しいにも関わらずスタッフ1人が持って行かれるのだから、さらに少ない人数で営業を回す事になる。

(決して人手不足でもないし、繁忙月は多めにシフトを組んでいる)

 

そして結局アルバイトから聞いた内容は「あの人席で煙草吸ってますよ」だった。

 

そのお客さんと一致したのだ。

 

煙草が吸えないとわかっているなら喫煙できる居酒屋に行けばいい。

こういった事をされると本当にがっかりする。

ましてや、これから社会に出る子達(アルバイトの子達)にこういった大人を見せたくなかった。同年代の大人として恥ずかしい限りだった。

 

一緒に居た見た感じ40代位の男性もその事を全く注意していなかったし、それでも一緒に来店されていたので二人ともそういった方達なのだろう。

 

サービス業の行く末とは

今の日本のサービス業は本当に素晴らしいお店ばかりだと思う。

競争が激化し、どの業種もどのお店もサービス面に力を入れている。

 

しかし私には少し不安に感じる事もある。

このサービス競争がどこまで行くのかを。

 

飲食店では充電器の貸し出しや、タクシーや運転代行に連絡、ハッピーアワーや期間限定で1杯10円でドリンクを提供するお店まで。

 

これらのサービスは一体どこまでいってしまうのか、そして当たり前になってしまうのが怖くもある。

 

利便性が高くなったのはとても素晴らしいし、私もその恩恵を受けてる消費者の1人だが、反面多少不便でもそれはそれでいいいのではないかなと思う。

その不便を楽しめる少し余裕がある大人になりたいとも思う。

 

勘違いする人が増えない事を祈りつつ。