初めて居酒屋に1人で行った日。
10月12日夜8時。
私は1人で居酒屋に入った。緊張の瞬間だった。
以前の勤務先でアルバイトとして働いていた1人の女の子(以下、Kちゃん)が他の居酒屋で新しくバイトを始めたという事で、「美味しいので来てくださいよ!」と言われていたのでお邪魔する事にした。
Kちゃんにはうちのお店で働いてくれてお世話にもなったので(私が店長として、Kちゃんがアルバイトとして働いていたお店は9月で閉店してます)少しではあるが売上に貢献したいと思った。
それに料理が美味しい(焼き鳥がメインのお店)と言っていたし、
「新しいバイト先は楽しい?」
と聞いたら
「楽しいです!」
と笑顔で言っていたので、元店長としては良い環境で働けている事に私も嬉しく思った。
私はネットでお店の情報を得るついでにネット上から予約をする事にした。
そしてちゃっかりgo to eat対象店だったのでポイントもゲットした。
しかし、ふと思った。
誰と行こう。。。。
そう。私は友達が数える程しかいない。というより2人しかいない。
会社の元同僚等(9月に退職したので)誘えば来てくれそうな人もいるが、わざわざこの為にこっちにきてもらうのも申し訳ない。
考えた末に私は1人で予約する事にした。
居酒屋に1人で行くなんて人生初だ。
少し緊張しながら当日を迎えたのを覚えている。
予約日前日
夜11時頃お風呂から上がると、LINEの通知が8件程きていた。先ほども言った通り、私は友達がいないので、普段こんなにLINEが来ることはない。
確認してみると通知は全てKちゃんからであった。
見てみると、わざわざ明日の来店するにあたって駅からお店までの道のりを写真と文章で教えてくれるものだった。
相変わらず真面目だなーと微笑ましくなり、「明日はこのLINEを見ながらお邪魔するよ」と返信をして眠りについた。
予約日当日
夜20時から予約していたので、それまでは特に予定もなかった。
朝起きて新聞を1時間かけて読み、Twitterやnote等で情報を収集し、満足したらずっと本を読み、眠くなったらうたた寝をしてを繰り返し。
そうしていく内に夕方になり始めたので私は身支度の準備を始めた。
夜7時に家を出る。歩いて最寄り駅まで行き、久々に乗る電車に揺られながら7分で目的地の駅に着いた。電車内では特にやる事もないので、KちゃんからもらったLINEを何度も見返して間違えない様にしていた。
結構緊張してきた。
そう思いながらも、久々に会えるのが楽しみでもあり、色んな感情がごっちゃになりながら、よくわからない感情のまま電車を降りて改札に向かった。
ここからは貰ったLINEをちょくちょく確認しながらお店まで歩いて行った。
貰ったLINEのおかげで何も迷う事無くお店まで一直線で行く事ができた。
予約時間5分前にお店に到着。
入口からおしゃれな雰囲気だった。緊張感はマックス。
お店に入る。
カウンター越しに店員さんが4人。
一番奥にKちゃんも発見した。
予約した事を告げ、一番端の席に案内してもらえた。
目の前にはKちゃんがいた。配慮した席割なのだろう。
いつもと見ていた制服とは違う、白のTシャツに黒のエプロン姿のKちゃんがそこにはいた。そして笑顔だった。
本当に楽しそうに働いてるやん。久々に会った私の第一印象はこれだった。
きっと本当に良い環境なのだろう。
居酒屋では特に労働環境が劣悪な所がある。飲食業界は、この比率が他の業界に比べて高いと私は思っている。(あくまで個人的な主観です)
長時間労働やサービス残業等により、ストレスからアルバイトにあたったり、アルバイトにも当然の様にサービス残業を強要するような職場等は未だに存在する。
しかし、Kちゃんの笑顔を見てほっとした。素の笑顔が出ているので、良い環境なんだなと感じた。
丁寧に挨拶もしてくれてとりあえず生ビールを頼む。
美味い。
久々に居酒屋で呑む生ビールはとても美味しかった。
焼き鳥がおすすめなのでとりあえずおまかせ8本盛り合わせを頼み、おつまみにポテトサラダを頼む。
料理が来るまで、Kちゃんと話す。
「元気にしてた?」
「はい。元気ですよ!はせ川さんはお元気でしたか?」
とお互いの近況を話し合った。
Kちゃんは今もコロナの影響で学校に登校せず、すべて家からリモートで授業を受けている事。週5で授業を受けている事。ここも週5でアルバイトを入っている事。
常連さんが多いお店なので、閉店後に常連さんと店長達とバーに飲みに行ってダーツをした事。
普段は3人で営業しているが、今日は新人さんがいるのでたまたま4人という事、等々。
色々と話してくれた。
合間合間に料理も運ばれてきて、どれも本当に美味しかった。
焼き鳥の盛り合わせは1本ずつ私の食べるスピードを見ながら提供してくれる。
ポテトサラダは熱々のじゃが芋と熱々のベーコンが入った。温かいポテトサラダ。
私は2杯目にレモンサワーを頼んだ。
私は普段は基本的にレモンサワーを呑む。
ここのレモンサワーは余計な物が入っていなくて最初こそは物足りない気もしたが、慣れると変に味付けされるレモンサワーよりも全然美味しかった。
(チェーン店の居酒屋等では、コンクと言うものを使用する。業務用スーパー等にも売っているが、要するにシロップの事だ。グラスに氷を入れて、ボタンを押すと焼酎と炭酸が自動的に割られたもの(焼酎を炭酸で割ったものをサワーという)を入れ、コンクを入れ、最後にカットしたレモンを絞れば完成)
余計なものが入っていないので、透明で、カットしたレモンが入っているのみ。なので味付けもカットしたレモンのみの純粋なレモンサワー。
やはり、余計なものは入れないに限る。
私は仕事柄それが当たり前になっていたが、やはり心の底から美味いと思えるものは、余計な物が入っていないシンプルなものなのだなと実感した。
そして途中で注文した、おでんの厚揚げ、大根、こんにゃく、おでんの出汁で煮たかきポン酢4個がきた。
どれも旨い。
大根、厚揚げはやわらかく、味が染み込んでいる。
かきもこういった出汁で煮たかきは初めてで、ほんのり出汁の味と香りがついて美味しかった。
途中で店長さんが挨拶に来てくれた。
名刺を頂き、色々とお話を聞いた。
この他にあと2店舗ある事。
ランチとお弁当を始めたが、今はやっていない事等々。
とても良い方だった。
最後にレモンサワーを1杯頂き、お会計をお願いした。
Kちゃんがレジをしてくれて、私のお店では教えていなかったレジもやっているのか、成長したなあとしみじみ思いながらお店を出た。
最後はKちゃんがお見送りに来てくれ、挨拶をして別れた。
帰りの駅までの道のり、久々に呑みすぎたなと思いながらも何だかとても嬉しい気持ちになった。
やっぱり、人と人との繋がりって大事だよなあと思いながらも酔いを醒ますにはちょうどいい距離の道を歩いて駅に向かう。
30歳を過ぎても自分のお酒の飲める量を超えて飲んでしまうのは、きっと内心嬉しい気持ちになって飲んでしまうのだろうなと思いながら、電車に乗った。
今度は私から誘ってみよう。